断酒マラソン2018

水木しげる「よく食べ、よく寝て、よく生きる」読了。晩年まで妖怪じみていた「食欲と創作意欲」の源泉とは?

この記事に使っているアイキャッチ画像は、筆者くらんけが2014年に山陰を旅行した時に撮った、JR境港駅前に建つ水木しげる像(&鬼太郎&ねずみ男)です。

くらんけは水木しげる先生の大ファンなのですが、「鬼太郎」や「悪魔くん」などの漫画作品より、どちらかというと水木先生自体の人間離れ…というか、現実離れした生き様の方に惹かれます。

中学校の図書館で手に取った水木先生の自伝「ほんまにオレはアホやろか」は今でも愛読していますし、境港まで行って水木しげる記念館に赴くことができたのは幸せでした。

さて、今日は水木関連本の書評ということで「よく食べ、よく寝て、よく生きる 水木三兄弟の教え」(水木しげる)を紹介します。

元々は「ちゃんと食えば、幸せになる」というタイトルでしたが、文庫化の際に改題されました。

この本を手に取ったのは、先日ポストした記事で水木先生の「睡眠力は幸福力」という大金言を取り上げたのがキッカケでした。

強烈な食欲と睡眠力の持ち主である水木先生が言うところの「幸福力」を探るべく、本書を読み進めていきましょう。

水木しげる先生について

改めて述べるまでもありませんが、手塚治虫や石ノ森章太郎らに比肩する漫画界の巨匠・水木しげるについて、簡単におさらいしておきましょう。

以下、自伝「ほんまにオレはアホやろか」から紐解きます。

水木しげるは、1922年鳥取県境港市で三兄弟の次男として誕生。

健康でものすごくよく眠る子供で、9時に目が覚めてもゆうゆう朝飯を平らげるので、小学校はいつも2時間目から登校。それでも腹が減り早弁を繰り返していた。

近所に住む「のんのんばあ」という老婆から、地元の伝承や宗教を叩きこまれて妖怪に興味を持ち、墓場に小便をするとそこにナニモノがいるのか何となく見えたり、精霊やこびとに遭遇するような少年期を過ごす。

やがて徴兵されて南方の激戦地ラバウルへ派兵され、そこで爆撃にあい左手を失う。

終戦、帰国後は紙芝居作家→貸本漫画家と長い極貧生活を送ったが、漫画雑誌「ガロ」の創刊から名を連ね、昭和40年、少年マガジンで「テレビくん」を描いてからは仕事が舞い込むようになった。この時40歳超え。

売れ出してからはしばしば徹夜を繰り返し、睡眠時間5時間が普通になると体調を崩すことが多くなり、次第に仕事をセーブ。それ以降は睡眠不足を取り戻すべく、10時間は寝ていた。

その後も自伝やエッセー、そして地元境港に2003年に完成した「水木しげる記念館」にも尽力。2015年に亡くなる寸前まで創作・連載を続けていた。

…とまあ、(はたから見れば)とても波乱万丈で、とってもチャーミングな生き様です。

食に対する「妖怪顔負け」エピソードの数々に唖然。

さて「よく食べ、よく寝て、よく生きる」で水木が語る、食にまつわるトンデモエピソードの「ほんの一部」を紹介しましょう。

最近美味しいのは「空色のアイス」

水木はザラメ煎餅大福どら焼きが大好物で「ホットケーキは別腹」「最近はアンパンをガボガボ食えないから、シュークリームがいい」など、とにかく甘いものをたくさん食べます。

腐りかけのバナナや柿など、季節の果物も多く食したとか。

ちなみに「空色のアイス」というのは「ガリガリ君」のことで、「頭がシャキッとして具合がイイ」(水木)とのこと。夏になると一日何本も食べるのに、お腹を壊したことが一度もないそうです。笑

image:https://ja.wikipedia

それにしてもガリガリ君を「空色のアイス」なんて、なんとも綺麗で爽やか表現をしますよね。

「朝から牛ヒレステーキ」「ソーメンは晩飯の前菜」

「人並み外れて胃の良い家系に生まれた宿命」と語る水木は子供の頃から食いしん坊で、ハイカラだった父親の影響もあり、オムライスロールキャベツなど洋食も好んで食します。

貸本時代の極貧にあって「中村屋のカリーの缶詰」は超贅沢品だったものの、大好物だったそう。

また、すき焼きなど肉もよく平らげ、連載の激務で精をつけるために5年間ほど毎朝「牛ヒレステーキ」にかぶりついていたのも強烈。

ソーメンがマイブームになった時期は、

悦子(しげるの娘)「コンビニで売っている、すぐに食べられるそうめんが、父のお気に入りなんです。」

水木「すぐに食べられる方がいいだろう。」

悦子「一時、昼はそうめんが続いたのですが、本当に気に入ったようで、仕事帰りにコンビニによって、また買って、夕食の前に食べてました。」

悦子「父にとっては、夕食前の前菜のようなものなのかも。

「よく食べ、よく寝て、よく生きる」より。

「ソーメンが前菜」とは、もはや石塚英彦さんが発するネタの領域です。

晩年までピザを好んで食すほどの健啖っぷりで、「ぼた餅みたいな肉だがな」と表現するハンバーガーを丸ごと一個を頬張る様を、くらんけは忘れることができません。

親指の力でパイン缶を開ける

第二次世界大戦中、南方の激戦地・ラバウルに徴兵された水木は、すぐに地元民と仲良くなり「パウロ」と名付けられました。

軍にかくれて地元民と交流し、支給されたタバコ(水木は吸わなかった)とパパイヤを交換したり、密林で巨大なカタツムリを拾っては焼いて食べていたようです。

「貝と同じような味ですごくうまい」らしい…たしかに、フランス料理だとカタツムリはエスカルゴですからね。

また、物資が乏しい中パイナップルの缶詰の配給があったそうで…

水木「フハッ、パイナップルのかんづめ!!シャバでは見ることもマレな品物!!」

食欲旺盛な僕は極度にコーフンした…(中略)…

水木「フハッ、缶切りがない!」

ぼくは親指の力でかんづめに穴を開けたのだった。

「よく食べ、よく寝て、よく生きる」より。

ちなみに「今はできない」そうです。笑

丈夫な体、そして衰えない創作意欲の秘密とは?

このように常人離れした胃腸の持ち主だった水木ですが、亡くなる直前の93歳まで、60年以上もの長きに渡り創作意欲を続けてきたのは、食欲だけのおかげではないはず。

クリエーター視点で、創作を長く続けるための秘訣?を「よく食べ、よく寝て、よく生きる」からキーワードを拾い、考察してみましょう。

睡眠、徹夜について

水木は貸本漫画から「少年マガジン」などの漫画雑誌に軸足を移す中、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」とヒット作を連発。

あれよあれよと言う間に売れっ子作家となりましたが、すぐに連載の締め切りに追われる日々がやってきます。

それでも2日連続の徹夜はしなかったそうです。

まあ、わたしは石ノ森(章太郎)さんや手塚(治虫)さんのように真面目にやらなかったから、生き延びられたんですよ。

あの人たちは、徹夜を二日続けてやるから。

あれがいけない。あれが身体に悪いんですよ。

一晩はいいけど、二晩はやっちゃいけない。

これは、昔からずーっと言い続けているんですよ。

「よく食べ、よく寝て、よく生きる」より。

水木自身も激務で、真面目にやらなかったと言うのは謙遜もいいとこですが、この発言は私たちクリエーターにとって非常に重要な「睡眠の大切さ」を示唆しています。

水木はのちに仕事量をセーブし、念願の睡眠時間を取り戻しますが、連載を重ねる中でアシスタントを養ったり、「水木プロダクション」の設立という状況を考えると、勇気ある決断だったと想像します。

しかし結果として「画業を60年以上も奮闘して、ついに食い切った」(水木しげる)のは、睡眠を重んじてきたからこそ。

創作活動を長く続けるためには、生活習慣がなにより大事なことかを改めて思い知らされます。

よく歩く

水木にとって健康法は特別なかったようですが、調布の自宅から仕事場の事務所までは、徒歩で通っていました。

ゆっくり歩いて1時間だといいますから、往復2時間の運動量ですね。高齢なのに随分歩いています。

「時々書店に寄り道」(水木)したりと、おそらくリフレッシュにもなっていたのでしょう。

散歩を習慣づけることは、とかく運動不足に陥りがちなクリエーターにとって「気分転換」も兼ねるという大きなメリットもあります。

自転車でもランニングでも何でもいいと思いますが、とにかく運動すると頭の回転を促進させることは、皆さんも実感されるところでしょう。

くらんけも、晴れた早朝は近所の運河沿いをカメラ片手に歩き回るようにしています。

頭の中で散漫だった考えがまとまり、その日に書くブログのテーマやネタもよく思いつきますね。

「最寄駅の一駅前で降りて歩く」「買い物は、離れたショッピングセンターまで行く」など、日々のちょっとした心がけで、私たちにも十分可能だと思いますが、いかがでしょう?

酒は一滴も飲まない

水木は体質的に下戸で、「酒を飲んでもうまいとは思えない。ただの変な水って感じで」とのこと。

あれだけ無節操に食べたいものを食べながら病気知らずなのは、遺伝の要素(水木三兄弟はトータル300歳)もあるのでしょうが、アルコールで体を壊さなかったのも見逃せない事実だと思われます。

このところ断酒を試みている筆者くらんけも、早朝散歩の成果もあると思いますが体調はすこぶる良好で、ブログを毎日更新できている原動力になっています。

最近ではノンアルコールビールやサワーなんて気の利いた商品もありますし、創作時間の確保のためにも、アルコールを控えるのはオススメですよ!

創作活動の礎は、健全な心身があってこそ。

睡眠不足や運動不足、過度のアルコール摂取など、荒れた生活習慣はストレスを生み、生活習慣病のリスクを高めます。

そうなると、もはやクリエーターだ、物作りだなんて言ってられなくなりますからね。

くらんけは、恐らく無意識に実践していた、このような水木先生ならではの生活習慣が、死ぬまで続いたクリエイティビティーの源泉になったと感じましたが、いかがでしょうか?

今日の処方箋

  1. 水木しげるが死の直前まで創作意欲が旺盛だった理由の一つは、食に対する執着ゆえでしょう。
  2. 睡眠時間の確保を優先するため、あえて仕事量をセーブしていたのも見逃せません。
  3. 日常的によく歩くなど、健全な生活習慣がクリエイティビティーの源泉だと言えます。

今更ですが、この記事は一応書評なので「よく食べ、よく寝て、よく生きる」という本自体の感想を述べますと…

  • 水木の過去の著作物の記述を元に、水木三兄弟、奥様、娘お二人にインタビューして編集された歓談集なので、気楽に読める。
  • いい意味でユルいので、眺めていて楽しく、ほのぼのとする優しい内容。
  • 本書にガチな健康法の教示を期待すると、見事に肩透かしに合う。
  • 随所に掲載された、テーマにまつわる豆知識が楽しくて役に立つ。

と言ったところでしょうか。

イヤなことがあって落ち込んでいる時や、本自体から遠ざかっている方のリハビリ?にも、とても読みやすい編集内容なのでおすすめですよ。

最後に、もしかしたらどんな心がけよりも大切な、この水木先生の言葉で記事を締めくくります。

本日のカルテは、ここまで。

断酒6日目。ノンアルビールもサワーも基本「糖類ゼロ」なので、ちょっとスリムになってきた…ような?

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